地球資源衛星1号 (ESR-1) 観測システムについて

Abstract

The Japanese Earth Resources Satellite-1 (JERS-1) has been developed as a joint project of the National Space Development Agency (NASDA) and the Ministry of International Trade and Industry dominantly for survey of natural resources, as well as for observation of landscape and environmental change, oceanic survey, monitoring of disaster, and reconnaissance of coastline. The observatory system consists of Synthetic Aperture Radar (SAR), Optical Sensor (OPS), Mission Data Recorder (MDR) and Mission Data Transmitter (MDT). The SAR is an active sensor using L band which enables all-weather observation, and the data will be used for lithologic survey. The OPS includes Visible and Near Infrared Radiometer (VNIR) and Short Wave Infrared Radiometer (SWIR); the VNIR can collect three-dimensional geographical data, and SWIR will be used to identify rocks. Having completed flight tests using the prototype, the observatory system was delivered from March to September 1990 to NASDA which takes charge of development of the satellite body. The JERS-1 is scheduled to be launched in winter 1992, and to collect observatory data for two years.

地球資源衛星1号(ERS-1)のシステムならびに現在での開発状況を報告している。地球資源衛星1号プロジェクトは、通産省(MITI)と宇宙開発事業団(NASDA)の共同プロジェクトであり、資源探査を主目的に環境保全、国土調査、農林漁業、防災、沿岸監視などを目的として開発が進められた。ERS-1観測システムの開発は、通産省が担当しており、プロトフライトモデルの開発は、資源探査用観測システム研究開発機構が通産省との契約のもとに実施した。観測システムは、合成開口レーダ、光学センサ、ミッション記録装置、およびミッション送信機から構成される。合成開口レーダは、雲などの影響を受けない全天候型の観測機器であり、観測された地形情報から地殻構造などを解析して資源探査に用いられる。光学センサは、可視光から近赤外までを観測する可視近赤外放射計と、短波長赤外を観測する短波長赤外放射計とから構成される。可視近赤外放射計は、同一軌道面内の衛星直下視と前方視とからステレオ観測する機能を持ち、この観測データを解析することにより3次元の地形情報を得ることが可能である。短波長赤外放射計は、鉱物の吸収バンドに感度を有する世界初の衛星搭載高分解能センサであり、鉱物資源の同定に有力な情報を得ることが可能である。観測システムは、各機器毎のプロトフライト試験を完了して、1990年3月末から9月中旬にかけて、宇宙開発事業団への引き渡しが実施された。以上の各機器は、衛星に組み込まれた後も良好に作動しており、1992年冬期に打ち上げられた後、2年間にわたり観測データを取得する予定だと記述している。