MU-300ビジネスジェット機によるμGフライト

Abstract

標記三菱式ジェット機を用いたパラボリック飛行による微小重力(μG)実験について、機体運動のシミュレーション計算および実施飛行結果を紹介した。フライトを始める前の検討項目としては、μG持続時間の検討と共に、このような航空機での大きな姿勢角での飛行や、深い降下角からの回復が指摘された。MU-300としての製造時の型式証明取得の試験飛行では、乱気流によって航空機が0G以下になった場合、最低限5秒間はエンジンが正常に作動しなければならないという要求項目があり、このための試験飛行を実施したが、それ以上の時間の0G飛行は、この機体にとって未知の領域であったため、微小重力飛行、上昇姿勢角によるμGの持続時間の変化、回復飛行中の速度増加についてシミュレーション計算を行い、安全性の確保の標準的な最適飛行パターンを設定した。シミュレーション計算の実証試験飛行を、高姿勢角の確立と回復まで5度間隔、高降下角からの回復まで5度間隔で安全を確認しながら、スタビレータートリムの故障を想定して、人力操舵のみによる回復の検証飛行を行った後、前飛行パターンについてpull up“G”、MAX+θ、MAX-θおよび回復“G”について最適値を探りモデル飛行パターンを設定した。検証飛行の結果に基づき、エントリー速度320KIAS、引き起こし加重2G、最大上昇角45度、最小速度150KT、最大降下角40度、回復速度300KT上昇で、平均20秒、最大24秒間の微小重力飛行を実施し、Gレベルは1/100-5/100Gが可能であった。またエンジンオイルの低下をきたさないようプラスG側からのみ限りなく「0」に近づけるという操縦テクニックがパイロットに要求されることも判明した。

Parabolic flight has an advantage to achieve microgravity with ease and low-cost, as well as to enable to perform science experiments by payload specialists themselves. This report summarized results of simulation study and actual flight for microgravity. Model flight pattern was determined on the basis of the most appropriate values for recovery gravity, maximum rising degree, maximum descending degree and pull-up gravity which were obtained by results of simulating calculation and test flights measuring gravity every 5 deg during chandelling and nose driving. In the test flights, the plane was controlled by manual steering, assuming that the stabilater trim was out of order. As a result, 1/100 to 5/100 G was achieved for average 20 seconds, maximum 24 seconds. The safety was confirmed in simulation calculation, determination of flight pattern, and structure and checking of the airframe. The microgravity experiments have been utilized for various fields, such as life science, material engineering, and physics.