内容記述 | 漏洩ナトリウムの流動性を明らかにする目的で,温度250circCの低温ナトリウムのライナ上流動燃焼試験を行った。試験には,長さ約2.4m,幅約1.2m,ライナ勾配1/100を有し裏面断熱の水平なライナ試験体を用い,その端部に幅200mm,高さ10mmのノズルを固定し,ノズルから水平方向に流量約1-/secで総量約160kgのナトリウムを220秒間穏やかに流した。試験中はライナ上のナトリウムの流動性及び燃焼状況を観察し,またライナ各部の温度測定も行った。試験後は,試験体各部に残留したナトリウム燃焼生成物の回収とそれらの分布を調べた。試験中及び試験後のデータとそれらの解折から,次に述べる結果を得た。ノズルからの流出ナトリウムは,最初は限定された流路幅の中を流れた。しかし,しばらくすると流出ナトリウムの先端が放熱のために一時棟結し,凍結によって形成された固化ナトリウムが流路をライナ全面に広げた。凍結ナトリウムは,次々と流入するナトリウムによって容易に再融解され,その後のナトリウム流動は円滑に推移した。ナトリウムからライナに対する熱流束は約80kw/mtimes2以下で,前回の高温ナトリウム(505circC)試験の時と比べ小さい。ただ,熱伝達率は300sim500w/mtimes2circCと前回と同様な値であった。試験後の残留ナトリウム燃焼生成物は,ライナ上では平均約1kg/mtimes2のほぼ均一な分布を示し,連通管内については大きな固形燃焼物の流入は認められていない。このことと前回の高温ナトリウムを用いた同様な試験結果から,実機における流路閉塞の可能性は排除できるものと結論される。 著者所属: 日本原子力研究開発機構(JAEA) |