内容記述 | 高速実験炉「常陽」の低出力および出力上昇試験期間中に1次冷却材の流動によって生じる制御棒振動の反応度への影響を調べるために,中性子束,制御棒荷重信号,制御棒駆動機構ハウジング上での音響信号および反応度信号を測定し解析した。1次冷却材流量,制御棒位置および原子炉出力に関する種々の運転条件において測定した信号は多チャンネルデータレコーダに記録した。これを再生して周波数分析器により,パワースペクトル密度,コヒーレンス関数およびrms値を求めた。その結果,以下のような特徴が認められた。制御棒(調整棒)駆動機構ハウジング上で検出される衝撃音は1次冷却材流量が100%に近付くと顕著になり,その生じる頻度は約2Hzである。測足した信号ゆらぎのパワースペクトル密度には約2Hzに顕著なピークがあり,信号間のコヒーレンス関数にも約2Hzに顕著なピークがある。反応度ゆらぎのrms値は制御棒が引き抜かれるにつれて減少し,50MWでは約0.1¢となる。以上のことより,1次冷却材の流動により引き起こされる制御棒(調整棒)振動の周波数は約2Hzであることと,50MWでの制御棒振動による反応度ゆらぎのrms値は約0.1¢であり,原子炉制御には外乱を与えないことがわかった。 著者所属: 日本原子力研究開発機構(JAEA) |